声を隠さない 末光篤「Dear Grand Piano」
かつてSUEMITSU & THE SUEMITHという名で活動していた末光篤はソロ名義で初のリリース。といっても楽曲提供は数多くこなしてきていて、*1不在だった感はあまりない。でもいちばん大切なのは彼が自分で歌っていることだ。
- アーティスト: 末光篤
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2011/11/09
- メディア: CD
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もともと彼の書く歌詞は前向きで、当然のことながら自分を重ね合わせている。それはそれでいいものだ。だが、そんななかでもいしわたりから提供された歌詞も数多くあって、その歌詞は提供されたものでありながらもよくわかってるじゃねーのお前って思える素晴らしいモノばっかりなのだ。そんないしわたりが提供した百花繚乱 the Worldは曲名でちょっと唖然としたけれど、ちょっと痛いかなと思ったりもするけれど、末光にはとてもよく合っていることがまた証明されてしまった。
や、好きなのだ。曲もすばらしく、決意が伝わるならばもはや何もいうことはない。
これからも連続リリースが控えている。まだ彼から目を離すには早い。
駄目でもただいるだけでいいのだ 岡村靖幸「エチケット」
「ビジネス」みたいな感じだったらどうしようなんて思っていたけれど、発売前に出た「だいすき」のPVで期待は否応なく高まりそのままCDのヘビーローテーションへと移行したのである。
- アーティスト: 岡村靖幸
- 出版社/メーカー: V3 Record
- 発売日: 2011/08/24
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- アーティスト: 岡村靖幸
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声が出なくなっているのはべつにここ5・6年に限った話ではなく、それでも歌い続けてくれればそれはそれでいいと感じていた。叫んだって歌わせたってシンガーソングライターダンサーであることには変わりはないもの。でも、そんな諦めを彼は軽快に歌うことで解消してくれた。
アレンジだって勿論最高だ。ライブ版を下敷きにした「だいすき」のニューバージョンは文句のつけようもないし、「あのロン」だって変わらず素敵。「モン・シロ」に至っては原曲を完全に越えたといっていい。
あとは、純粋な新曲のリリースだけだ。負けないでほしい。
だめな予感はある
働けど働けどっていうほど働いているわけでもないが、ルールに従って生きていくのはベリーハードな感だけがしている。辛さは想定内に収まってはいるが問題は瞬間風速ではないのだ。生きていこうと思うのならば働きつづけねばならぬわけでつまりは台風は40年間本州の上で暴れ回るわけで。
多少の小康状態がいま訪れたが、いま願っているのは慣れることだけである。
ルーティンワークでもいいので楽に生きさせてくれ。宝くじが当たることをこころから祈っている。買ってねーけど。そもそも書店くじさえあれだけ漫画買ってても100円が関の山なので期待はできない。
キャリアアップとか自己啓発ということばを聞くたびに焦燥感とうんざりが押し寄せてくるので、働かずに済むやつは働かずにいればよろしいと嫌味ではなく本音でいう。美少女が降ってくるよりも電車に自殺志願者が飛び込むのが日常であるうちはおそらくどうにもならない。
テーマの難易度は果たして適正だった? 新海誠監督「星を追う子ども」
はじめに言っておくが、ぼくは映画監督のなかではいちばん新海誠監督に金を掛けている。「雲のむこう、約束の場所」DVD-BOXも「秒速五センチメートル」DVDも持っている。今回だって見終わったあとにパンフとポスター買おうって思ってたのだ。本当に。もっと時間に余裕があったなら上映前に買っていたかもしれないin新宿バルト9。
ある程度の期待をもって入場した。はたして脚本は向上しているのかと。
続きを読むあるバンドの終焉とそれに伴う変質について GOING UNDER GROUND「稲川くん」
二年ぶりの野音でのライブを終えて総括した。やはりGOING UNDER GROUND「稲川くん」は傑作であった。
というのも、第二期ゴーイングと銘打って行われたライブではあったが、けしてこれまでの道程を否定することない音楽を追求するのだ!という姿勢がこれでもかと表されていたのだ。このアルバムはこどもの頃を思い出す「Merry Christmas Mr. INAGAWA」から始まり、たたみかけるようなドラムから希望に満ちあふれた未来を祝う「名も無き夢〜煩悩青年とワーキングママ〜」が続き、大切な友人との別離を確かな形で受け止める「さよなら僕のハックルベリー」を挟み、これまでのバンド人生の象徴としての「LONG WAY TO GO」で終わる。
そういう概形だけを述べたのなら、ただの過去の切り売りにみえないこともない。題材自体はそうかもしれない。だが、歌詞の端々からメロディーを飛び出して突き刺さるメッセージは憧憬に留まらない。年をとって現実を知った彼らは、確固たる決意をもって確かな一歩目を踏み出したことを確信させてくれたのだ。
それを全力で支持していくことにした。変わらないソウルでいろんな道を歩いていってくれ。
- アーティスト: GOING UNDER GROUND
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2011/04/27
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COMITIA95 結果報告
戦利品にコメントをしていきます。敬称略。ネタバレもあるよ。サークル名/作品名。
・惑星家/ネガッテル
同性の好きな人=異星人という距離感。想いひとつで超えられるのだよね。
・Zulu_mix/THE TWINS GAG MANGA 02
銃撃つ制服ガールがいいってのは自明として、無駄な回想に1p使うあたりとかがツボ。
・鉄幻コークス/うたたね通信 03-
非正式版のコピー誌ということで、今度持ってけば後日正式版と交換してくれるとか。うひひ。
んなもんはおいといてキモは発電ガール。停電する電車で電源確保される際の『発電したら 感じちゃうんでしょ? あったまるじゃん!! 一石二鳥!!』って台詞がイッてる(褒め言葉)。表情のバリエーションも増えてる。
33pのカットが非道エロ。
・三日で飽きる/コピー本ギャグまんがだよォ
毎回高品質のひどい漫画を描いている三日で飽きる。今回も光ってた。
どう考えても動きがないカットに、キャラに矢印つけて※残像とかできるあたりはセンスだなあ。
・評価不要並誤植之指摘不要/あきんぼ!No.1〜4
まず自家製本なのにオフセ並みの装丁の美しさ。3冊で200p超のボリュームで1000円ジャストという値段も安すぎると思うくらい。
さて中身だがブログ上で公開された漫画の再録。後半は完全に性技格闘漫画になってるののは何故w いちいちモザイク代わりに挿入されるあきんぼマークがかわいくてもにょる。
・chapter22/It's your (new)ID.
間違いなく今回初めて買ったサークルの中でナンバーワン。
目を惹かれたのは横長なところ。なんでこんな装丁なんだろうと読み進めていくうちになるほどこの漫画はこの装丁じゃなきゃだめだと確信するに至った。
ひとの身体性に焦点をあてたフェチ漫画ということだけれど、確かにそれには嘘がないのに、どういうわけかロマンチックな気さえしてしまうのは話の作りか絵の美しさか。ひとの体にあるほくろを星に、体そのものを宇宙に見立ててしまうとは。美しいな。
・すこやかペンギン/マイナスのアルファ
短編二編。どちらも完全に通じ合ってるようで噛み合わない男女。いやあかわいいってのは存在だけで癒し。
・すこやかペンギン/ユキミレコード
上記の作品よりも設定がよりグッド。綺麗な話だけど、救いがないのがより引き立てている要因か。
・彼岸泥棒/eratta 2007-2011
今回で店仕舞いの彼岸泥棒のほぼ全短編+未収録作品の総集編。
IKKIの新人賞という形で評価された短編の完成度についていまさら細かく言及することは避けるが、共通してあるこの読後感たるや。正当な評価が下されたことが他人事ながら嬉しい。アミカケのほうがベタより好きだけどね。
さりげなく影に隠れているが「樫野」主人公の日記形式1p漫画にふんだんにちりばめられた小ネタとチョイスがナイス。カーステレオから流れるスウィートソウルはちょっと反則かもね(作中では流れてないよ!)
・TTT/valentine
バレンタインものでは一番。ツボ抑えて胸キュン要素満載やのうと思ったらハルヒの漫画のひとだった。
けして目新しいわけじゃないけど、多くの人の胸を突き刺すだろうな。
・もちほむ軒/漫画 毒毒悪夢料理店
装丁すごい。手作り和綴じの特性を最大限活かした細かさ。ページの間に原稿用紙風のデザインがある上に全部数字が書いてある!(伝わるかな)
設定はすごくいいし絵も上手いのだけれど、この面白さはホラー的な面白さなのか。次も買う。
・Eleanor-R/DIASTASE
技法はそこいらの商業誌に載っていても全然不思議じゃないレベルにある。
6pで少女の毒が描けるってのは、とてもすごいことなのではないかと。
・Eleanor-R/光の魚
なにも文句の付け所がみつからない。子どもだからこそ行けない世界とか、これから行けるようになる世界とか、魔法とか、話の筋とは関係無く煌めいている(もちろん、話だって十分すぎるほど上手いと思う)。表紙で子どもたちが描いている絵が象徴しているのは。
・neige/街角にて
人間間の齟齬だったり接触だったりがとても丁寧に描かれている。
破綻のなさとか自然さとかただものじゃないと思ったら、やっぱりもう商業誌に掲載経験アリ。くそう。見つけられなかった俺くそう。
雰囲気に逃げてしまうのはこういった漫画で結構見るけど、それだけじゃもったいないものな。
コメントで不快にさせてたら、ごめんなさい。
より深みへの進路変更 つばな「第七女子会彷徨」(3)
ちょっとこの作品の見方を間違えていた。見る目がなかった。
- 作者: つばな
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/12/13
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前巻まではSF漫画だと思っていた。周りには百合漫画だと主張する輩もいた(ぶちのめしたが)。しかしながら3巻にいたって、正しいジャンル分けができなくなった。
漠然とした物言いではあるけど、登場する道具が本当に話の中で道具にしかならなくなってきた。にもかかわらず話の動かし方はより細かく能動的になってきた。
特筆すべきは30話「ジプシーキングス」だろうか。もう完全なるドラマである。話を作るのは大変そうだが、SFでもなく日常ものでもない独自の道を探求していってほしい。次巻も非常に楽しみ。