あるバンドの終焉とそれに伴う変質について GOING UNDER GROUND「稲川くん」

二年ぶりの野音でのライブを終えて総括した。やはりGOING UNDER GROUND「稲川くん」は傑作であった。


というのも、第二期ゴーイングと銘打って行われたライブではあったが、けしてこれまでの道程を否定することない音楽を追求するのだ!という姿勢がこれでもかと表されていたのだ。このアルバムはこどもの頃を思い出す「Merry Christmas Mr. INAGAWA」から始まり、たたみかけるようなドラムから希望に満ちあふれた未来を祝う「名も無き夢〜煩悩青年とワーキングママ〜」が続き、大切な友人との別離を確かな形で受け止める「さよなら僕のハックルベリー」を挟み、これまでのバンド人生の象徴としての「LONG WAY TO GO」で終わる。

そういう概形だけを述べたのなら、ただの過去の切り売りにみえないこともない。題材自体はそうかもしれない。だが、歌詞の端々からメロディーを飛び出して突き刺さるメッセージは憧憬に留まらない。年をとって現実を知った彼らは、確固たる決意をもって確かな一歩目を踏み出したことを確信させてくれたのだ。


それを全力で支持していくことにした。変わらないソウルでいろんな道を歩いていってくれ。


稲川くん

稲川くん