想像力と創造力の欠けたオタクの終着点――がらくたストリート(1)

期待の大型(凹型?)新人、山田穣の第一作。その正体は成人コミック界で知る人ぞ知るZERRY藤尾なんだけどね。


がらくたストリート 1 (バーズコミックス)

がらくたストリート 1 (バーズコミックス)


個人的には大好きでめちゃくちゃ面白い漫画家だと思うのだけど、いまいちヒットしない。恐らくは成人コミック的にはあんまり使えないからだと思う。読者の実用的な意味で。はっきり言ってしまえば、エロくない。


作品自体もストーリーや小ネタには感心させられることはあっても、エロにはほとんどぴんとくるところがない。


この作品では、そういった得手不得手について完全に開き直ってる感がある。要はストーリーにオリジナリティだとか、ぐっとくるシチュエーションだとかというものを完全に排除して、知識をありったけ詰め込んでエンターテイメントに昇華させている。帯には非正当派ジュブナイルと銘打ってあるが、これはどう考えてもジュブナイルではない。宇宙人はいるわ、知識ありまくりの小学生いるわ、主人公はヤクザと義兄弟だわ。


正直なところ、もはや漫画でオリジナリティを作り出すことはかなり困難だと思う。明らかに漫画家の数は増えているのに、革新的な漫画というものにお目にかかることはそうないからだ。そう言った意味で大切なのは、貯め込んだ知識をいかに使うか。この作品はその答えを導き出しているところに、オリジナリティがある。