愛すべき不安 HARCO「Ethology」

夏の光についてちょろっと書いたと思ったら、一気に寒くなって秋めいてしまった。


Ethology

Ethology


暑いあいだ、一生懸命だったのはHARCOの過去作を入手することだった気がする。とりあえず、ミニアルバム三部作の一作目、Ethologyについて。


動物行動学という意味らしい。字面だけだとどっかの毎日の環境学みたいでちょっと不安をかき立てられるけど、それまでとそれほど変わりはない楽曲群だ。一周して大きく違うのはやはり、歌詞の普遍化がある。一曲目の「お引越し」なんかは、独居暮らしならだれでも共感できるようなシチュエーション(「君」の存在はおいておくとして)の僕が描かれている。


「天気雨」からは、それまでの「らしさ」が戻ってくる。どっかヘンなメロディーと目線。


変化をはっきりと見つけることになるのは「嘘つき」だろう。文字で示される別れは、たとえひねくれた書き方をしても輪郭をぼやけさせるられないくらいに、「僕」の実感をもって歌われる。


ある「僕」が、不安を持って君と向き合ったり、手探りで歩くような生活を、愛情をこめて表現したようなミニアルバムだ。