珈琲が刻むのはある種のワープ  豊田徹也「珈琲時間」

珈琲時間 (アフタヌーンKC)

珈琲時間 (アフタヌーンKC)

12p連載がついに単行本に。残念ながら珠玉の読み切り「ゴーグル」「スライダー」は未収録。残念。だからといってこの連載がつまらなかったことなんてあるわけもなく、十分に今年のマンガのトップ10に滑り込んでくる出来。


豊田徹也は表情と背景を描くのが上手い。ここでいう背景はキャラクタの後ろに展開する景色ではない。キャラクタの人生の軌跡のことだ。ひとつひとつの仕草に、過去のエピソードが隠れている気すらする。


ショートショートにそこまでの過去は隠れているはずもないが、12pでなにかありそうな感じを演出できるのは豊田徹也の他には数少ないだろう。その手腕は「アンダーカレント」で証明済みなのだ。とにかく、早い時期での次回作を期待。